人類の
未知なる可能性へ
Quest for the Human Potential
2020年4月17日現在。コロナウイルスによる世界的な危機。たった一人から広まった感染は瞬く間に世界に広がり、世界の経済が止まり、外出の自粛を余儀なくされている。
僕は、誰も経験をしたことのないこの未曾有の社会にいる一員として、不安を抱えながら生きている。
今僕たちは、これまでの社会がつくりあげてきた、資本主義、グローバル市場経済、合理主義、科学主義などの確固たる「正解」で固められた世界の壁が音を立てて崩壊していく瞬間を目撃しているのかもしれない。
人類は何を目的に生きてきたのだろうか?テクノロジーを活用し、効率や利便性を求め、生産性を高め、合理性を追求し、経済的豊かさという明快な価値基準にしたがって生きてきたが、経済が止まり、不要不急なアクティビティが強制的にシャットダウンされていく中で、僕はまるで何者かに
「あなたが本当に大切にしていることはなんですか?」
「本当はなんのために生きているのですか?」
と問われているような気がしてならない。
ホロコーストの絶望から生還し、精神科医として活躍したヴィクトール・フランクルは、こういい残した。
「もう変えることもできないほど絶望的な状況にあるのなら、私たちは自分自身を変えるチャレンジにとりかかからねばならない」と。
この危機的状況における大いなる挑戦と希望とは、僕たちの内面にある無限の自由と可能性を見出すことだと思う。
それは、これから生きたいと思う世界を、その内面の声にしたがって、今この瞬間に選択し、生きることだと思う。
僕たちが今、恐れを選択するとき、他者を批判し、社会に対して怒りをぶつけ、限りある資源を奪い合い、独占し、監視しあい、武装し、世界は分断するかもしれない。
僕たちが今、愛と勇気を選択するとき、評価や批判よりも共感し、違いを受け入れ助け合い、武装よりも協調を選び、監視よりも教育を選び、独裁よりも民主を選び、孤立よりも協働を選び、世界は再び一つになるのかもしれない。
まるで、外側の世界は、内側の世界の鏡写しのようだ。ならば、僕たちは今、ひとりひとりの内側に、まだ見ぬ人類の可能性を見出すことから始めたいと思う。
世界中の誰もが多かれ少なかれウイルスの脅威に傷つけられるという体験が続いている。でも、そこから見えた新たな可能性もあると思う。それは、初めはたった一人であっても、一人の良い変化が世界中に伝搬し、それが人類の指数関数的な進化に繋がるのかもしれないという希望だ。
人類の歴史をみると、いつだって危機こそが飛躍的な進化の起点だった。
不確実性という名の壁は、未知の可能性への扉だ。
僕は、自分たち一人一人の中に、まだ見ぬ無限の可能性があるのだと信じて生きていくことをここに決意する。
2020年 4月17日
Human Potential Lab CEO
山下 悠一